平成十七年 聰子の日記広場たより28号  通算四八三号    
    二〇〇六年二月二十五日(土)太陰暦睦月二十八日 
 
 劇団MAMと松橋登による詩と音のセッション「二月のともしび」が終りました。
一月三十一日に企画演出の熊手町クリニック院長吉本哲郎氏と音楽担当の
高森絵美さんの打合せに参加。それから十八日までの短い練習で、入場料
頂けるのかしらと危ぶみつつ、松橋さんの「よだかの星」朗読を聴くだけでも
安いと思ったり、なかなかスリリングな二週間でした。 
 松橋さんの朗読の後、ショスタコービッチのプレリュード24が始まり、ナオさん
の金子光晴の「シャボン玉の唄」、そしてわたしのナレーション。なかまの詩
二編の紹介。松橋さんの「静かに歩む」(竹内てる代作)あと草野心平の「無題」
「春」林芙美子の「いとしのカチューシャ」岡本潤の「ばちあたり」竹内てる代「頬」
小野十三浪「大海辺」最後に宮澤賢治「生徒諸君に寄せる」(春と修羅第四集)の
群読。全体にクラビノーバでのショスタコービッチという筋立て。哲郎氏が全て
シナリオを書かれました。私の大好きな松橋登さんと彼は若い頃からの演劇仲間で、
それで今回も客演されたのだそうです。それで厚かましくも劇団MAMに参加させて
頂いて、同じ舞台に立つという希有の経験が出来ました。本番前に出演者が輪に
なって「やりまっしょい!」と手を重ねるとき、松橋さんと手を重ねられたし・・・・
そのために自彊術はなんとか続けたし、二年伸ばしていた髪も短く切りました。
 いや、そういうことよりも劇団MAMの団員の詩の朗読に刺激を受けたことが
一番の収穫でした。精神科の治療を受けながら、社会との繋がりを求めて結成
された劇団MAMはMake A Mobe やろうぜ!
 少ない練習でしたが、みんなの朗読が回を重ねるたびに上手になっていくのです。
上手というのはすらすら読めるという形ではなく心が言葉と重なることです。それぞれ
の声にあった詩を選ばれたし、それに応える意志がそこにあります。それは「いのち」
でした。形だけで読んでは心に響きません。それでナレーションの中の「労働者は奴隷
ではない。にんげんだぞぉー」の「にんげんだぞぉー」が本番で思い切り出せました。
この公演で二月のともしびが春のともしびになったのでした。
出演者にもお客様にも。                          カット若松の橙