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平成十六年 聰子の日記広場たより8号
  通算四三十三号    二〇〇四年七月三日(土)太陰暦皐月16日
   
 六月入会の瑠莉菜ちゃんは四歳です。
お母さんの正代さんは枝光公民館の職員です。
四月末から枝光公民館で「楽しく書こう」講座を開いたのですが、
日記広場のことは、木ノ原館長から聞かれていたからでしょう、
入会の機縁となりました。
五月の見学が初対面です。
日記広場は見学と言っても一緒に何でもする広場なのですが、
瑠莉菜ちゃんは、正代さんにくっついたままです。
始まりも終わりも、手を繋ごうとしません。
口を閉じた貝のようでした。
 茶房青花での中国茶を楽しむ会でも一緒になりました。
三回目がやはり茶房青花での「クッキー作って午後のお茶」でした。
堅いバターを柔らかくなるまで混ぜ、
砂糖を入れたらまたふわっとなるまで混ぜ、
と片方では生ジュース作りに手動の絞り器に夢中の組と、
何時も静かなバロック音楽の流れる茶房青花は、時ならぬ騒動でした。
瑠莉菜ちゃんもクッキー種を丸めています。
できた?と尋ねるとひょいと手渡してくれました。
それをわたしは「少し大きいね」と無造作にちぎって、
瑠莉菜ちゃんに渡すと、受け取りませんでした。
 しまった、
瑠莉菜ちゃんが丸めたのが
少々大きかろうが小さかろうが、
形はどうでもいいのだから、
丸めた心を受けとらなければいけなかったのに、
どうしてわたしは形に拘ったのだろう。
見えないものを見ようと願っているのに、
声かけだけだったのかと、後悔の臍を噛むとはこのことでしょうか。
 翌日は例年恒例(と勝手に思っている)のS邸の梅ちぎりです。
三〇年以上の古い一本の梅の木はちょっとした森です。
そこで初めて瑠莉菜ちゃんの声を聞きました。
私の向こうを指して「あそこにあるよ」と梅を見つけて私に教えてくれたのです。
あったあった、ありがとうとその梅をちぎって
瑠莉菜ちゃんに渡すと、受け取ってくれました。
何回も何回も。ああ、天使の声だと思いました。 
先週は車庫から日記広場まで、わたしは瑠莉菜ちゃんと手を繋ぎました。
お母さんの姿が見えなくても大丈夫でした。
信頼して貰えたかなと嬉しい時間でした。

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