106回 美禄句会  平成16年11月27日(土)

                            兼題 紅葉

特選 作者
静・さ 火葬場の一本明るい櫨紅葉 月代
卓・智 膝頭冷えて紅葉の気配する 晴海
晴・卓・月・静 黄落や坂をころがる物忘れ 一明
草紅葉かつて八人家族の家  月代
適齢期あるかも櫻紅葉かな 月代
初紅葉上着にしのばせ見舞うひと   智子
智・月 紅葉や体温三六度五分 さと子
晴・月 町村合併落葉はみな有効票 一明
一・静 ひとり寝のあしうら紅葉症候群 さと子
散紅葉水に砕けた日がひとつ 一明
幾重にも空に広がる紅葉かな 佐知子
富有柿をさっくりと喰む母の午后 静澄
もみじやま一揖してよりひとりみち 卓二
登山靴脱いで頭上に夕紅葉 静澄
朝霧の中へ中へと草紅葉 佐知子
紅葉山触れる手と手が紅くなる 智子
蔦紅葉ハングル文字が席巻す 晴海
「亜空間」にしがみついてる蔦紅葉 月代
萌燃えて紅葉盛りを散りにけり 卓二
ジョギングの足ひらひらと銀杏落つ 月代
太古より何よりまさる錦かな 佐知子
紅葉の湯薄暮に女身蛇となる 卓二


107回 美禄句会  平成16年10月16日(土)
                      兼題木の実
特選 作者
一・佐 アミノ飲料飲んで団栗走り出す 月代
さ・晴 秋空を洗濯挟みでとめている 一明
さ・月 掌の胡桃の音の乾きけり 卓二
卓・佐・晴・静 誰やらに似てる似てない鬼胡桃 さと子
智・卓・佐・晴 どんぐりの背くらべに行くサラーリーマン 一明
山頭火うしろの正面木の実降る 一明
一・佐 フリーターの転々として木の実落つ 月代
一・月 ころころと遊び疲れた栗ご飯 佐知子
大木の香り炊き込む栗ご飯 晴海
智・佐 椎の実をポケットに入れ子どもになる 月代
酒好きは柿を食べては仕舞いにし 佐知子
沈黙は金とはならず栗はぜる 晴海
栗おこわ母の両手は雄弁なり 静澄
銀杏を干して一日事もなく 月代
団栗といえど弥次郎兵衛揺らぎをり 卓二
銀杏のはじける音にイラクとは 佐知子
櫟の実観音菩薩は猫背です さと子
六十年前の椎の実掌にのこる 一明
栗の皮剥く明日を剥くように さと子
団栗はころころ流浪の民となり 晴海
横尾家の新高梨を八分の一 静澄
蓑虫が体当たりの太い幹
無花果や隣家の屋根に食べ頃に 静澄
橡麺棒振って明日は上天気 さと子
104回 美禄句会  平成16年9月27日(土)
       海響館吟行

特選 作者
月・佐 一・晴  秋霖に鰯堂々めぐりたる さと子
さ・静・月 ハコ河豚はボーイソプラノで歌うらし  晴海
さ・一・晴 くらげぷかりふわりゆらりくらくらり 静澄
一・卓・静・月 スナメリの口を閉じたる寂しさよ さと子
一・卓 秋雨の玻璃へ横たうクジラの骨 月代
さ・佐 マンボウの立ち泳ぎして夏終る 静澄
智・月 芸術の秋をまといて熱帯魚 佐知子
静・智・月 寄居虫(やどかり)の越してきにけり寄居虫に 卓二
卓・智・佐 何故から人魚になれずトドの秋 晴海
さ・静・佐 不順な秋と鯨の骨格目にあまる 一明
智・晴 イルカ跳ぶ秋の海峡下に見て 静澄
啻(ただ)ならぬものトルソーが泳ぎけり 卓二
海の中くらげの絵面に目を凝らす 智子
白長須鯨と握手月の夜 さと子



103回 美禄句会  平成16年8月21日(土)
              兼題魚

特選 作者
月・晴 静・さ 雁字搦めに蟹括られて夏休み 一明
さ・静 空溶けて熱帯魚となるさるすべり 晴海
カンテラに金魚くねくね赤くなる 卓二
妄想をふくらませおり金魚草 一明
晴・佐・諭 水底の貝は戦の音を聴き さと子
一・卓・月 鮟鱇の潜んでいそうなレストラン 晴海
晴・卓・佐 日本の勝ちたい鰯の大群なり 月代
さ・智・晴 エイは飛ぶ百畳の海暗くして 静澄
諭・佐 余所者に近寄りがたし秋刀魚の目 月代
さ・一 鰯雲ほそく血筋の続くなり 晴海
飛魚の更新記録誰のもの 智子
諭・卓 金魚売り青息吐息の曲がり角 静澄
飛魚のむだなき姿旅支度 佐知子
ATM待つ間ひらひら金魚の尾 月代
智・佐 鮟鱇の夏の眠りの深々と さと子
卓・月 鰻屋は風上にあり「田舎庵」 静澄
わだつみの唄シタビラメ口ずさむ さと子
白魚の黒木目玉を如何せん 卓二
河豚の子は鰭廻しから習うらし 晴海
自らを切り絵と思っている金魚 一明
御馳走は秋刀魚もひとつ加わりて 佐知子
日落ちて鯵の家系を辿るかな さと子
目を剥いて三枚になる虎魚かな 卓二
たちまちに秋刀魚求めて本屋かな 佐知子
窮屈も楽園なりや海豚飛ぶ 卓二
鱧御膳ちくりと刺され刺し返し 静澄