第六十九回グランパ句会

 二〇〇五年十月三日(月)旧暦長月一日  投句十八名

 1 秋の暮れ努力と忍耐ただの偶然

 2 洗い髪心乱れる京女

 3 秋風伝えてよこの胸少しでも

 4 線香を上げて座るなら九月

 5 風景が鋭角になり秋の雲

 6 頬杖の髪を吹き抜け秋暑し

 7 彼岸来て髪振り乱し叫ぶ蝉

 8 断髪や頭の森に秋は棲み

 9 秋の夜髪を洗いて哀しめり

10 刈りそろう坪田の畦に紅の波

11 満月は夕空で笑むモナリザよ

12 十月や明けの烏は墓地の主 

13 歓談するベランダ上に月一つ

14 櫻の枯れ葉のような私です

15 ポニーテール秋日蹴り蹴り歩きけり

16 髪を梳くサラサラと秋のしあわせ

17 泣きながら追いかけてくるお月様

18 おふくろの怒り心頭秋の風
 
19 団子餅秋波の向こう望の月

20 三筋ほど髪重たくて秋の恋

21 お彼岸や水買わずに潤い喉

22 髪匂う君去りひとり星月夜

23 秋風に素直なこころとりもどせる

24 白髪染め自然は豊かに秋染める

25 秋なれど庭いっぱいの韮の花

26 自由無き身が嬉しくてきのこ鍋

27 虫の音も一休みかな黒い髪

28 仲秋の髪にも触るる月の影

29 二人乗りの自転車過ぎる白露かな

30 秋めく街に気後れする
 
31 彼岸花に閉じこめられるダムの村

32 帰り道車窓の夕暮れススキ揺れ

33 誰の髪掃除で見つけた長い髪

34 冷やっこ生姜をのせて晩夏かな

35 五十路なれど幻のように身も軽く

36 携帯のならない日曜草刈の音

37 散歩道憂いの私グレイの空
 
38 つきあかり想いの数だけ酒を酌む

39 独りだけ溶け出していく秋の暮

40 バッサリと切られし髪や秋逢瀬

41 濡れた髪星の瞬き上り坂

42 曼珠沙華夕日に頭の黒く揺れ

43 生活乱れ乱れて夜ながし

44 嘘つきに都合よきかな秋の空

45 そさくさと髪かき乱し帰る秋

46 鈴虫がなく夕ぐれの風が吹く

47 秋空や御先祖様はインターナショナル

48 高速は月明かりのみにて疾走す

49 世の中はおかしな気配芒の穂

50 墓石また拭いた秋の日

51 安時計腕に形見や秋彼岸

   註・白露:秋分の十五日前・ 秋波:ウインクのこと 
     姜(秋)韮の花(夏)
次回十一月七日(月) 兼題《息 》