第六十八回グランパ句会 
     二〇〇五年九月五日()

               (作者)  特選  選

 1 疲れたな休め休めと夏の雨(夏日)     又

2 泣く女抱き寄せ腕に歯形かな(賢二)   ゴ

 3 青天の湯煙立ちこむ久重山(又太郎)

 4 歯科医師の逝く秋天に紫煙かな(もとお)  賢

 5 コオロギが命すりへらし歌うかな(ミルク) 羅

 6 いつからか乳歯探している晩夏(聰子)

 7 花火みて空っぽ頭に他者の毒(俊)     藍

 8 秋前にライン変えられ歯も痛い(藍)    

 9 少子化に歯がゆい思いの石榴(ざくろ)かな(暮淡)  我

10 カマキリの小首(かし)げて歯をみがく(乱葉)   賢・羅・清

11 亡き人の虫となりて鳴きしつる(虎血)   又

12 よる更けてかみなりの後の歯痛(はいた)かな(楽竿) 乱 

13 走る朝足元に射す夏の日よ(夏日)     ゴ

14 花(くず)の乱れ巻きつく鬼屋敷(賢二)

15 オンザロックスレモンの香り中年のミステリー(又太郎)

16 エアコンの室外機秋の草(もとお)

17 散歩道真っ赤な太陽皿倉に(ミルク)    夏・も・我

18 歯ならびを誉められている夜の秋(聰子) 楽・乱・賢

19 幼子の笑顔花火でちらちらと(俊)     羅

20 夕暮やあの日に早くもどりたい(藍)

21 結露したトマト、今日の始まり(暮淡)夏・賢  清・藍

22 何もかももういいじゃない処暑の蝉(乱葉) 夏・又

23 人の世の冷ややかなりし晩夏かな(虎血)  ミ

24 指を噛みゆりの花粉と歯の痛み(楽竿)

25 秋の風私をそっと目覚めさせ(夏日)     楽

26 白秋の堀を廻りし良夜かな(賢二)       藍

27 新米を胡瓜(きゅうり)の床漬けサクサクと(又太郎) ゴ・清

28 秋の夜嫉妬で言葉改める(もとお)       結

29 秋の夜におかしをほうばり歯が痛む(ミルク)

30 歯がみして夢見てからの葉鶏頭(聰子)     結・乱

31 地中からでて主張する蝉の自我(俊)      ミ・我

32 秋めいて憂鬱が上から降ってきそう(藍)    聰・ミ

33 虫の音や「新日本紀行」を思い出し(暮淡)   清

34 朝焼けに黄金の群雲むくろ蝉(乱葉)   

35 紫陽花(あじさい)はただ眠りをり歯の痛み(虎血) 乱・聰

36 雲うごくはや盛夏はおわり(楽竿)    

37 ぽかり雲皿倉山も夏帽子(ひめ本舗)      も

38 貴婦人の(むれ)のおしゃべり光る波(野捨次郎)   我

39 悲しみを血肉とせよ夏の歯よ(結)  ミ・藍  聰・夏

40 母の里れんげ畑と竹林(清)          も

41 蝉鳴くと奥歯がしみるめざめ哉(ゴン)       

42 夏休みくの字への字の昼寝の子(ひめ本舗)   楽・羅

43 キャンバスをはみ出してしまう海の色(野捨次郎)ミ・も

44 十三年十七年蝉果ててのち(結)        賢・又

45 夏の母乳歯を取れば十円也(清)

46 手を振っている稲の穂や下校する(ゴン)

47 海あれば海にちるちる夏花火(ひめ本舗)

48 接吻や背後の海も抱きしめて(野捨次郎)    ゴ

49 悲しみの涙の(しとね)月みちる(結)

50 母不在恩というもの蝉時雨(清)         聰・夏

51 透きとおる心肺食道風の秋(ゴン)        結

       (選の「羅」は花乃家羅紗亜さん