第六十一回グランパ句会二000五年二月七日

1 分裂病あせらずいこう短き人生
2 福娘寒い夜長を暖める
3 心の中の鬼くつろいでいる
4 冬凪ぎて一隻の船線を引く
5 豆をまけぇ鬼が来るぞと豆を撒き
6 吾子の口笑顔いっぱいに福きたる
7 旅立ちぬ愛しき人の数増えし
8 福来たり沈む心もいっときさ
9 福寿草ボサノバであれジャズであれ
10豆をまけなみだに鬼が凄んでいる
11窓に咲く白点々と細雪
12楪(ゆずりは)は笑顔をつくろう鬼の色
13運命は白い息吐き角曲がる
14人恋うる鬼面の男に春来たれ
15政府の浄化消される病人高齢者
16叱られて人生とはなんだと思う私
17傘閉じて水色の空春近し
18歴史は繰り返す鬼のDNA
19握る手に豆まきの豆5粒ほど
20豆もって鬼を追いし夕べあり
21日だまりに背(せな)にすごめる老の居る
22鬼ヶ島北朝鮮いや我が日本
23『幸福論』なむあみだぶつと梅が咲く
24車椅子母の病や春を待つ
25夕焼けをただ眺めをりわれがいて
26節分の明けて福豆累々と
27どん天の空なりふりかまわず生き残ろう
28スリガラスにすすめの影がさえずる
29冬の海漁船が二隻
30瓢々と達観して端正に花を摘む
31「福わぁ内」と言った後に恥ずかしく
32数えつつ年の数だけ福の数
33梅咲きて福招き込む女鬼
34鬼になる未来のために子のために
35鬼が読む日経新聞春隣り
36黒の膳柊二葉飾りたる
37初空のあまりの高さに福笑い
38眠り姫大寒の日に目覚めけり
39立春や打出の小槌に宝くじ
40捕らわれし我が子を思う夜長し
41鬼は二粒福さん五粒もったいないよねと母
42ふくろうの声きき百合に身をゆだね
43ストーブや曇った窓に「好き」と書く
44無題なり鶴ひとこえに鳴きにけり
45学生の良き日々のこと50米プール
46ゆっくりと近づく影や春の鬼
47降り踊れカノンのように雪よ舞え
48雪いろの服おにいさんおねえさん
49冬の陽に映える皿倉山静か
50大寒や心のゆれるまま雨に
51よせつけぬ血の感覚に春嵐
52笑う母は福怒った時は赤い鬼
53福の神どこにいるのか雪の空
54点滴の唄が雪夜の窓たたく
55簡保の湯あらたな一歩生れくる
56節分や二礼拍手一礼す
57豆まきちっとも楽しくない
58失いし身体の声きく冬こだま